MAIKO MIYASAKA
MAIKO MIYASAKA

プロサーファー・宮坂麻衣子
自然とともにある生活

笑顔たっぷり、ハッピームード満載。
コバルトブルーの鮮やかな海、
空が似合う宮坂麻衣子さんは、

国内屈指の実力を誇るプロサーファー。
ホームである千葉・九十九里のご自宅、
ビーチに足を運び、
今の宮坂さんを形作る
北海道での大切な経験から、
自然との関わり、
そして日々のヘルシーなライフスタイルを
教えていただきました。

海はずっと身近な存在

幼い頃から海や山に家族でよく行っていたのですが、私が小学1年生の時に、2人いる姉の内の1人がサーフィンをやってみたいと言い出して。私もサーフショップに通ってレッスンを受けたのをきっかけに、サーフィンにハマっていったんです。父が元自衛官だったこともあってか、当時は指導も厳しく、練習ができていなかったり沖に行けないとよく怒られていました。プロサーファー三姉妹の中では私が一番歳下で、背も低く出られない波もあり、姉2人が沖に行っているかたわら、手前で1人練習することもあったりして。すごく負けず嫌いなので、「どんどん沖に出て絶対2人に勝ってやる!」という気持ちでした。

最大の反抗は中学3年生の時
北海道に行くことを決意

2人の姉がプロになったことで、周りから注がれる「妹もなるんでしょう」というレッテル。それがすごく嫌で、「勝手にさせてよ、私の人生なんだから」と反抗心がメラメラと。自宅から海までは車で1時間ほど離れていたので、週末しか練習に行けない環境で、送り迎えや寒い時にも撮影してくれた親にはすごく感謝していますが、同年代の子が週末遊んだりしているのをいいなと羨ましく感じていたし、色々な葛藤があって“単身北海道行き”という最大の反抗を決意しました。小3の時から通っていたサーフショップのオーナーさんが北海道にゆかりのある方で、その方に連れて行ってもらったのが初の北海道。池下さんというホストファミリーにもお世話になり、気付けば中学生からは夏休みに貯めたお年玉で1人で訪れていて、中3の夏休みに行って帰ってきた時に、父に「私、北海道の高校に行ってくる」と伝えたら、「いいよ、行ってこい!」と背中を押してくれたんです。

藍染めをした初めての羽織り。行きつけのカフェの隣で、NORABIの(品田)彩来ちゃんが藍染めをしていて、一緒に染めるようになりました。現在、彩来ちゃんは大網白里市を拠点に活動しているのですが、元々プロサッカー選手でアスリートということもあり、話も合うし共感できるところもたくさんあるんです。

水着も染めています。水着の会社がいすみにあって、最近ポップアップもあったので、そのオーダー分を先日も染めに行きました。デザインにも携わらせていただいていて。トップの胸下にはフリルがついていたり、ボトムもハイウエストでサイドリボンが可愛いんです!

Turning Point

高校3年間は一番必要な時間だった

北海道・十勝、広尾町の高校に通っていたのですが、地域のみんなが優しく、バイト先のセイコーマートのお客さんも私のことを覚えてくれていたりと街のコミュニティを感じられたし、当たり前ですが全てを自分でやらないといけない中で、支えてくれる北海道のホストファミリーのことも大切に感じていました。こんなにもケアしてくれる人たちに恩返しがしたいという気持ちから、サーフィンも頑張りたいなと思えて。本当に素敵な出会いでしたね。

地方から北海道に移住してきたサーファーとしてメディアに取り上げられたりもして、自分の意と反する少し残念な気持ちを経験し、人を頼りに生きてはいけないということも学んだり。でも高校で生徒会長になり、過疎化が進んでいる広尾町をもっと自ら発信していきたいという思いから、冬にアイスキャンドルサービスのイベントを開催。というのも、広尾町はノルウェーから“サンタランド”として認定されているんです。その時は「取材してもらえませんか」と逆にメディアの方を自分から声がけしました。自ら行動できるようになったのも、北海道での高校生活のおかげだったなと。

自分の気持ちに従ったからこそ
試合に勝つことができた

試合に出たくない、自分が乗りたい時に波に乗りたい。北海道に行ったのも、「私は私」というのを見つけたかったから。それは逃げではなく、自分を確かめるためのチャンスだったと思っています。高1の時は全く試合も出ず自由にサーフィンをしていて、翌年になんとなく試合に出てみようかなとトライしてみたら、全日本で3番だったんです。それでもっと試合に出たいと思えるようになり、オール九州という試合で優勝。その後に「来年プロトライアルを受けてみよう」と考え始めて、高3の最初の試合、バリのトライアルでプロ合格をしました。バリでは2回優勝しましたが、1週間バックサイドしか乗らなかったりとすごく練習をしました。どんなに大きい波で誰も入っていなさそうな海でも自分は絶対に行くと決めていて、そこは誰にも負けないし、その気持ちで勝てたのかなって。

北海道や遠征先、友人との旅行の思い出。
Photography by Hiroka Yoshikawa

北海道はやっぱり故郷

今も頻繁に北海道に行くのですが、やっぱり帰りたいなと思える場所。千葉とは波も違うし、自分のモチベーションも全然変わります。千葉では「練習しないと」と思って海に行くのですが、北海道は海に入りたいから行きたいとなるんです。私にとってのサーフィンの全てを伝えてくれるのが、フンべというポイント。景色はもちろん、波も人もすごくよくて、いつも入るメンツは一緒。それは千葉の海もそうなのですが、でも何かがちょっと違う。海全体が「おかえり」と言ってくれている感じがして、向き合う気持ちも変わるんです。

自然の恐怖は常にある

曇天の日や、誰も入っていない海に1人で入るのもすごく勇気がいるし、海洋生物の怖さも知っている。北海道では隣で鮭が泳いでたりもするので、結構びっくりします。私もそうですけど、みんな冬でもサーフィンをするんですよね。広尾町は十勝の下の方にあるので夏がメインですが、オホーツク海側、流氷が流れてくるスポットは冬がシーズン。マイナス20度くらいなので全然感覚もないし、髪の毛は凍って折れてしまうので出すのは厳禁。水一杯を必ず飲んで、血の巡りをよくしてから入らないといけないんです。水は本当に大事!常に安心感はないし、危機感があった方が怪我もしないですよね。それが抜けた時に私は脚を骨折したので。

負けず嫌いなので怪我のトラウマは全然なくて、それを乗り越えたいと頑張れるタイプ。例えば、波が大きくて乗れなければ少しずつ慣らしていく。行ったことのない大きい波にチャージして、1本でも乗れたらそれが自分の自信に繋がるので。その次の日にはもっと大きい波にも行けたりするんです。そうやって一歩一歩自信を築いていくのが、私なりの困難を乗り越える術です!

海に入りたくない時も
そういう時は違うことに集中

試合が近くなると、練習していない自分の方が嫌だから絶対に海に入ります。でもそうでない時は、気持ちが向かなくて海に行かないことも全然あるし、代わりにゴルフをしたり、絵を描いたりと違うことをやっている内に、自然と海に入りたいなと思えるんです。自分の中でフラストレーションを発散する方法を見つけて、それをサーフィンで活かすことが伸びしろでもあるし、やりたくない気持ちのままサーフィンをしても私は上達しないので。ゴルフをやっている時も、芝生でラウンドを回らないといけない、砂浜みたいなバンカーはあるけど海はない、なんてやっていると「あ、水に入りたい!」と思えるし、そこで「やっぱり私、サーフィン好きだったな」と心から思えるので、だからこそゴルフもしています。

宮坂さん行きつけのOverview Coffee Ichinomiyaにて。

SHOP INFO

  • Overview Coffee Ichinomiya
  • 住所:千葉県長生郡一宮町一宮字東台場10144番、10147番
  • TEL:080-4876-3692
  • 営業時間:時期によって変動しますので、InstagramやGoogleマップなどでご確認下さい。
  • 定休日:月曜
  • instagram@overviewcoffee_ichinomiya

宮坂さんの行きつけだというベーカリカフェにお邪魔させていただきました!瀬戸田のロースタリーで焙煎された新鮮なコーヒーの提供・販売をはじめ、ショーケースに並ぶパンやドーナツは、生地の発酵から成形、焼き上げまですべて店内で行っているそう。イートインメニューもあり、近隣で生産された野菜を使ったデリプレートも。
「店長の(吉田)一輝さんに会いに来ています。ほぼ毎日通っている週もあって皆勤賞さながら。家からも近いし、夕方によくサーフポイントのサンライズで一緒に入ったり。コーヒーも美味しいし、シナモンシュガードーナツが大のお気に入りです。ぜひ食べてみてください!」(宮坂さん)

As Artist

絵のオーダーをいただいたりもするので、それを仕上げながら個展用の絵も描き集めたりして。2時間ぐらいで描き上げるので、ほぼ毎日描いてたら30枚ぐらいは集まります。個展は、絵を見てもらう目的よりも人に会いに行きたいという気持ちで「じゃあ次ここ行きたいな」と決めていて、呼ばれていくこともあるし自分が行きたいと思った時に行動しています。

ファイルやノートをパレット代わりにして、そこに絵の具を出して描いています。絵のソースは海に入っていて感じたこと。昨日の夕方もすごい濃霧だったのですが、合間に輝く夕陽がすごく綺麗で、そういう瞬間を描きたいなって思うんです。

洋服のペイントもしたり、古着屋さんに行って
買ったものをリメイクすることも多いです。
カバンも作って刺繍しました!

遠征などで長期間留守にする時もあるので、植物は水を頻繁に必要としなかったり、基本的に長持ちする種類を選んでいます。むしろ帰った後の方が元気だったりして、「1人でいるのが好きな植物なのかな?」と思うくらい。私も、人と会うのも好きだけど1人の時間も大切だし、植物もそういう感じなのかな。

祖母との暮らしが
アーティスト活動の原点に

今の暮らし方は、おばあちゃんの影響が強いです。ミシンや編み物をやっていたり、お庭でお花を咲かせるのも好きで、そういった生活スタイルを全部引き継いでるんですよね。ただ、私は同じ作業をずっと続けるのが苦手で編み物はフィットしなかったのですが、ミシンはいろんな工程があるので飽きがこないんです。絵も下書きせず思うがままに筆をとっていて、描いてるうちにどんどん変わっていくので、下書きを書いたところでそれに沿って色を塗らなかったりしちゃうんです(笑)。

ハッピーの秘訣は相手を想ってこそ

せっかく人と会うのに、泣いてる顔は見せたくないじゃないですか。先日原宿で開催した個展のテーマは、百人一首の紫式部の歌「めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に雲がくれにし 夜半の月かな」からとっていて。友達と会って話していても、何かに気を取られ相手のことをきちんと見ていなかったり話を聞いていなかったり。別れた後に、それまでの時間のことが希薄になってしまう瞬間があると思うんです。そんな、相手との空気感を大切にできているかを考えるような歌で、相手に自分の時間を共有できる、相手の時間も共有してもらえる、その空間を大切にしたいなという気持ちから、「巡り」というテーマにしました。

アウトドアブランド「POLeR」のサポートの元、原宿のKineticsにてアートエキシビジョンを開催。美しいアート作品に加え、POLeR x Maiko Miyasakaコラボレーションコレクションの可愛いアイテムもお目見え。

Lifestyle & Beauty

このケース、私っぽくないですか?mutaのコンペで優勝した時にいただいたんです。私の絵のキャラクターのボールも作ってもらいました。ゴルフを始めたきっかけはゴルフブランド「PING」のファッションショー。呼んでいただいた際にスイングを教えてもらい、筋が良いねとその後の<I.W.HARPER SURF & TURF>というイベントに誘っていただき、そこで火がつきました。

1. ブラシは友達が誕生日プレゼントにくれて、“maiko”と名前が彫られていてお気に入り。 2. 肌が弱くて荒れやすいので、下地をきちんと塗ってから日焼け止めを塗るようにしていて。 3&4. パックは毎日していて、特にスクラブ入りのLUSHのフェイスパックは、肌の調子が整います。 5. 一番大事なのはきちんと化粧を落とすこと。ビオデルマはマストです! 6. Mermaid & GuysのUVカットスプレーは背中にも塗れるし、手軽に使えるのでオススメです。海に入る前は、こまめにサッと塗り直しができるスティックタイプ。どちらも香りが良くて、虫除けにもなるエッセンシャルオイルが配合されているそうです。 7. 私が最近ポーラーとコラボで作ったポーチ。 8&9. 唇は女の命!ということで、愛用しているのは超濃厚蜂蜜っぽい無印良品のリップエッセンスと、日焼けした私にはこのオレンジが似合うかなとshu uemuraのリップ。

バリに行った時に、あちらのエージェントの息子さんが描いてプレゼントしてくれたんです。小学生ぐらいでリクという子なのですが、「一緒にサーフィンしたい」と言ってくれて。最後、空港に行った時に「マイコちゃんまだいますか?」と走って渡してくれて嬉しかったです。

地方に行く時などに必須の銭湯セットは、いつも車に入れています。Mermaid & Guysの製品は環境に優しく外シャワーもOK。入れ物は友人の松本さんが手作りしてくれました!

ピラティスが身体の資本

千葉と東京を拠点に活動しているピラティスの先生がトレーナーとしてついてくれていて。気持ち良さそうなイメージとは裏腹に、トレーニング後は毎回小鹿のようになって帰ってきます(笑)。地味な動きだけど、本当に必要な筋肉を鍛えることができるんですよね。「こっち側の腹斜筋が弱いね、こう運転してるでしょ」など、普段の仕草や動作からも先生には色々とお見通しで、きちんと見てくれているし、応援もしてくれています。私も先生を信頼してるからこそ、真面目にトレーニングに向き合っています!

「ちょっと朝ごはん食べます!」(と自作のトマトを食べる宮坂さん)

食べたいものを好きな時に

海に入る前はあまり食べないのですが、朝はウエットスーツを着ながらコーヒーを淹れて飲んで海に。その後、帰ってきてから食べることが多いです。水は絶対飲みます。試合前はチョコレートかアンドーナッツを一口食べてから海に入るのがルーティーン。糖分を体に入れて血糖値あげて、集中力を高めて。食事面は試合が近くなったら気にしますが、大体は自分が食べたいものをバランスを取りながら食べるようにしています。最近は野菜がすごく好きで、ドレッシングのレパートリーを増やしたりして、味変しながらサラダをヤギみたいに食べています(笑)。ピラティスの先生はお料理も上手で、アスリートにいい食事、バランスのいいレシピをストーリーによくあげてくださっているので、先生にも色々と聞いて作っています。

As Pro Surfer

プロサーファーを続ける
一番の理由は

肩書きにこだわりはなかったのですが、プロサーファーであることが自分にとってもプラスのことばかりなので、当時の自分の決意は間違っていなかったと今は思えます。オフシーズンを楽しむためでもあるし、もちろん試合に勝ちたい、応援してくれている人に優勝した姿、感謝を届けたいという気持ちが本当に強いです。試合に出るのも好きだし、負けたらめっちゃ悔しい。それって「私って選手でいたいんだな」と思えるポイントでもあります。それこそ私はサーフィンだけでなくゴルフもしたり、絵を描いたりしていてそれでも優勝をとることによって両立できていることを証明できる、そういう場でもあるので私にとってはバランスがいいんです。でも人それぞれなので、サーフィンに没頭している選手もいれば、他のお仕事をしながらサーフィンをしている選手もいたり、それがその人にとってはいい道であって、かつみんな自分自身で決めたこと。それを前提に応援してくれるスポンサーさん、家族や友達、周りの人々に私は恵まれているし、その人たちを大切にしたいという気持ちでサーフィンをしています。それがプロサーファーを続ける一番の理由かもしれません。

ウエットスーツはMAXIM CRAFTSUITSで、私がデザインしたものなんです。優勝したら絶対私の柄を作らせてくださいと社長にお伝えしていて、一昨年優勝したので、しぶしぶ受け入れてくれました(笑)。型違いで同じ柄を使ったものもあって、どれもお気に入り。

やりたいことは
紙に書いて実現していく

いつかは北海道に帰って、家庭菜園程度の畑をやりながら絵を描いて、海に入って、洋服も作りたいです。ただ、いつもその時に思ったことをやりたいので、フランス留学もしたいし、絶対行きます。やりたいことは全部紙に書いて、一つずつ消していっているので。その本をなくさないように気を付けます(笑)。

今の自分に点数をつけるなら、120点!

自分が満点じゃなかったら人と仲良くなれないなと。自分に優しくなれなかったら、人に優しくなれない。自分に自信がなかったら、相手にも自信を与えられない。自分がマイナスでいる必要はないから、常にプラスでいれたらなと思っています。もちろん、マイナスになる時もあります。常にポジティブすぎてもうるさいじゃないですか(笑)。このアップダウンがあって、マイナスな一面を知っているからこそ、周りにも優しくできるんだよね、という気持ちで頑張っています!

profile

宮坂麻衣子
千葉県出身・在住。1998年生まれ。2015年全日本選手権3位、2016年に初めて出たバリでのJPSAプロトライアルでプロ公認を取得。2018年には愛知•田原で開催されたJPSAで初優勝、2019年そして2025年バリ開催のJPSAで優勝、2024年JPSAショートボード女子ランキング3位に。現役プロ選手として大会を巡りながら、アーティストとしても活動中。

instagram@maiko_miyasaka

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staff

  • Photography : Yasuma Miura
  • Text & Edit : Seira Maehara
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